アルエリエロ

 漸く薄いパンティの中へと手を差し込めば、そこは湯気立ちそうな程蒸れていた。男の大きな手をいやらしく浮かせる柔らかな布は湿り気を帯びながら甲に張り付いてくる。女の履くそれは何故こうも千切れてしまいそうなほど薄い生地をしているのかと、その感触が無性に凶暴な気分にさせた。

「ああ…こんなにジュース零してやらしいな…もう俺の手、ぐっしょりだぜ…?」

 下着から抜き出せば二本の無骨な指はただ筋を撫で掻いただけであるのに愛液を絡め取り、薄暗いオレンジ色の間接照明にいやらしく濡れ光った。

 それを見てしまった少女はたまらず息を飲む。きゅっとシーツを握りいやいやと、かわいらしいピンク色に染める目許に涙を散らす姿はとても初心だった。短い息をしきりに吐き鼻から子犬のような音色を洩らしては、それでも何も知らぬわけではない腰の奥を疼かせてピクンピクンと上下に跳ねさせる。その脆いギャップがますます男を焚きつけるのだとわかっていないらしい、なんて小悪魔だと男は滾り舌なめずりをする。

「そろそろ一回イっちゃいたいだろ…?」

「いや…らぁ、も…きもちい、の…やらぁっ」

 濡れたままの手で太腿を握りぐい、と腰を天井に上げさせる。呂律の回っていない口や手は必死に、しかし気怠そうにアルヴィンを引っ掻こうとするのに体は力無くなすがままだった。

 決してイかせやしないほどの刺激を、延々とアイネは受け続けている。好いた男に触れられてしまえばもう駄目だ。どこもかしこも過敏に彼の感触を受け止めてしまう。いまもアルヴィンが握っている太腿が、彼のガサついた指に触れられている箇所が痺れてしかたがなかった。感じてしまうごとに感度は上がっていき、延々とイってしまっているのではないかという快感地獄にアイネは喉を反らして身悶えていた。

 ―――ジュウウウゥウッ

「んやぁああああっ」

 布越しに愛液を吸われてしまった。液体を小刻みに振動させるようなキツい啜り方は膣口からその奥へとじんわり快感をもたらすが、強い決定打にならない。

 もっと吸って欲しい、直接刺激して欲しいと思ってしまうはしたなさにアイネはひんひん泣いた。下半身にアルヴィンの顔があり臭いも感じられそしてエッチなものを吸われてしまっているという事実がとても恥ずかしかった。

「あ、あるび、も、…やぁ…っゆるひ、…ぇ…」

「…痛いのは嫌だろ?」

 可愛らしい悲鳴に股間が疼いた。手に入れたいと欲したものが手の内で乱れることの甘美さに時折飲み込まれそうになる。だがそれを堪えられたのは、普段強気なこの少女が本当は怖がりであることを知っているからだ。強引さと刺激を求める好奇心旺盛さに引きずられガッツいてしまっては、繊細な心を傷つけてしまうのだ。

 なんてたまらない少女なんだろうかと、アルヴィンは垂れた前髪の隙間から、その怯えと混じる期待を込めたアンバランスな表情から目を反らさなかった。

 ぬる、と熱い舌が布を舐める。肉に覆われた豆をめがけ何度も繰り替えされれば、大きく口を開きその舌の動きに合わせ高い声が漏れてしまう。アルヴィンの親指が布を左右に擦るようにすればその中で肉のふくらみが左右に開かされ、直接肉芽が布に触れた。

 来る、とアイネは胸の奥をときめかせザワつかせた。

「んあ、んあああっもっろ、あ、あん!もっろっ!!」

 布を尿道に押しつけられその窪みを上下に摩擦される。頭の芯まで痺れる快感。おしっこが出ちゃいそう、と心の中で叫びながらアイネは腰を高く突き出した。

 濡らされ薄くピンク色を透けさせる布へ歯を立て、左右のふくらみから肉芽まで強めに甘噛みしていけば求めていた強い刺激を体が喜び少女に嫌がることも忘れさせた。

「噛んでぇっあ、アイネを、食べて…ぇっ!あ、あ、あ、っ」

「ほんと…食べちゃいたいよ…、この美味しいお肉を全部噛み千切っちゃってさ…」

 歯に挟まれた太腿が大袈裟なほどビクンビクンと跳ね上がり、その先端の爪先は丸まりながら震えている。好奇心を煽りに煽られアイネの頭の中は食べられてしまう妄想でいっぱいだ。痛い事はいやなはずなのに、どういうわけかそうして噛み千切ってしまわれたかった。

 不埒な妄想に戸惑い縋るようにアルヴィンの顔を視線で探せば、酷く男の顔をしている彼を見てしまった。視線が合えば愛しげに目を細め、指を絡ませ繋いでくれる。安心させるようになのか、それとも悪戯心なのか絡めた指がアイネの白い手の甲を擽り撫でてくる。その大人の男の色香に息が苦しかった。

「あるび…、おねが…」

 消え入りそうな声だった。

 ああ、と酷く掠れた低音で返した男は、いつの間にかパンティを取り去ってしまった尻を一舐めして視線を絡めたあと。股座へ唇をピタリと合わせグズグズに溶けたヴァギナへと舌を思い切り突き立てた。

「――…~っ!!!」

 声にならぬ鼻にかかった音を漏らしてぎゅっと肩を竦めた上半身をビクビク震わせるアイネ。喉は大きく反らされており汗で張り付いていた髪が宙に散っていた。

 さっきまでの痺れはイきっぱなしなどではなかった。もう一段階上の、全身の毛を逆立たせ頭が真っ白になる絶頂。

 まだだ、と言うようにアルヴィンの舌は容赦なく痺れ蠢いている膣肉をほじくり返し抜き差しを止めない。絶頂から降りてこられずに反ったアイネの体は痙攣が止まらない。下品な音を立てて愛液を啜られ舌で掻き出され、前歯がクリトリスを押し潰してくる。

「…心配するなアイネ、」

 気のせいだろうか、そう聞こえた気がしてアイネは濡れた瞳をアルヴィンへと向けた。視線が絡んだことに気づくとアルヴィンは至極愛しげに目を細め、力の入っていないアイネの手をしっかりと握る。アルヴィン、とおぼろげ名前を呼ぼうとして、そしてアクメを迎えようとしていた。